東京はまだ暑いですが、9月も涼しげな金魚の催し物が行われています
EDO ECO 日本橋で行われるアートアクアリウム2018。毎年恒例になってきましたね。
7月6日(金)から9月24日(月)までコレド室町1 5Fの日本橋三井ホールで開催中。今年の日本橋会場のテーマは「江戸・金魚の涼」。合計約8,000匹の観賞魚が優雅に会場を泳ぎます。
この期間日本橋は金魚、金魚、道の飾りも和菓子も金魚だらけです。
ナイトアクアリウムもあるので浴衣でお出かけしてみては。
金魚ってなに?その歴史
こんなに綺麗でかわいい金魚なのに、元々はフナだそうです。約1800年前に中国でフナが突然変異したものが金魚の先祖です。
中国でフナから生まれた金魚は、日本やアメリカ、イギリスなど多くの国で長い時間をかけて観賞用に交配を重ねた結果今のようなかわいい観賞魚になりました。体色は白、オレンジ(金色)、赤、黒、茶など様々、現在も新しい品種が生み出され、いまでは世界中で可愛がられています。

しかし本場中国の金魚は、長らく皇帝や貴族などの上流階級によって飼育・愛玩されてきました。そして残念なことに一時文化大革命(文革)においてその歴史は途絶えたしまいました。現在は日本の金魚生産者の協力により輸出品となるまで力を取り戻しました。
日本へやってきたのは約500年前の室町時代です。
江戸時代前期頃までは上流階級や資産家の愛玩用でしたが、中期頃から庶民にも知られ、後期の化政文化の頃には観賞用で大流行しました。暮らしに根付いたその姿は浮世絵や日本画にも描かれています。有名なものでは歌川国芳の戯画「金魚づくし」があります。
和金=フナに近く泳ぎが速いのが特徴
オランダ獅子頭=独特の頭のこぶ(肉隆)が特徴
らんちゅう=背びれがない卵形で最高級品種
琉金=丸い体と王道ともいうべき長い尾びれが特徴
他にも、目が横に飛び出した出目金など品種は30種以上があります。また、愛知県産の地金、高知県産の土佐金、島根県産の出雲南金などは各県の指定天然記念物となっています。
金魚の色・形態は品種によって大きく異なっていますが、なんと分類学上はすべて同じ学名「Cyprinus auratus」になります。素人からすると不思議ですね。
金魚ってなに?どこから来るの
観賞用の金魚は淡水性で、主に藻や水草を食べ、水中の植物に産卵して子孫を増やしていきます。元がフナですから同じですね。
長年順調に育てれば30cmくらいまで成長するそうです。
今市場に出回っている金魚はすべて養殖です。主な産地は奈良県の大和郡山、愛知県の弥富、東京都の江戸川で、日本の金魚三大産地と呼ばれています。ですが現在では東京江戸川周辺は都市化の影響があり、生産業者は江戸川区を離れてしまいました。今では熊本県長洲町を入れて三大産地と呼ぶ事があります。

東京都の江戸川では優良な琉金が作られ、「江戸川琉金」というブランド名で流通していました。
愛知県の弥富は、あらゆる品種の高級金魚を生産する一大産地です。高級金魚「弥富金魚」としてブランド化されています。金魚品評会である<金魚日本一大会>も行われます。
金魚すくい全国大会で有名な奈良県の大和郡山は、金魚すくい用の金魚を大量に生産している産地です。
熊本県長洲町は、オランダ獅子頭が大型化する品種「ジャンボシシガシラ」が長洲の特産金魚として有名です。
東京の水族館で金魚を見る
東京スカイツリータウン内にある【すみだ水族館】では「東京金魚ワンダーランド2018」と銘打ったイベントを2018年6月30日(土)から9月30日(日)まで開催されています。
すみだ水族館内では約100メートルの金魚展示エリアで、色も形もさまざまな約20品種、約1000匹の金魚を展示されているんです。様々な品種の金魚たちを、隣り合った8個の水槽で比べて鑑賞することができます。
他にも世界中の金魚に囲まれてビアホールのようにお過ごしいただける「世界の金魚ビアホール」(5F「江戸リウム」)や世界中から集めた普段出会うことの少ない黄色、茶色、青など、さまざまな体色をした金魚を展示している「金魚いろくらべ」(6Fテラススペース付近)など、イベント盛りだくさんです。

また、驚きの活動は出張水族館と銘打って東京下町の金魚売りを再現していること。これは日本の夏の風物詩であった江戸金魚の観賞を復元する目的も兼ねています。
文化の継承として、伝統的な金魚売りの声も涼やかにリヤカーで担当の方が出張してくださいます。
東京には未だ江戸が残っています。